JICA「持続的森林管理を通じた気候変動適応策プロジェクト」の研修に対応しました

独立行政法人国際協力機構(JICA)さんが山岳国ネパールで実施しております技術協力プロジェクト「持続的森林管理を通じた気候変動適応策プロジェクト」において那賀ウッドが研修受け入れを行いました。

当プロジェクトではネパールの政府職員を対象とした日本での森林関連技術研修の実施を行っており、今回はネパール政府職員6名を日本に招聘し、森林・流域管理の取り組みを学んでいただくため、高知・徳島の各地で研修を行う中で那賀ウッドにもお越しいただきました。

那賀ウッドでの研修の様子

座学研修

まずは那賀ウッド工場横の那賀町林業ビジネスセンターにおいて、事業概要についてご説明しました。

木粉や木粉活用製品の加工技術だけでなく、持続可能な事業を継続するために必要となる実施体制、販路拡大の方法など余すところなくご紹介しました。

木材加工視察(原材料~前処理)

続いて、那賀ウッドの木粉工場をご案内しました。

木粉の材料には、製材所から発生する端材を主な原料としていますが、森林組合さんなどより購入した原木も扱っています。

原木を扱う理由としては、①森林認証に対応した木粉を製造するためや、②製材の量が少ないときのバックアップ材とする、など付加価値を高めたり事業継続性の担保などいろいろな考え方があることなど、細かいことも含めてご紹介しました。

ストックヤードで乾燥を進める端材の様子

杉の原木の様子

また、お客さまのニーズに応じて竹などさまざまな森林資源も扱うことをご紹介しました。

乾燥の際には省エネで対応できるように工場の排熱を利用したり、太陽熱を利用した温室を利用することなどローテクではあるものの現地化しやすい技術や工夫についてもご紹介しました。

間伐竹の集積と乾燥・前処理の説明

温室ハウスでの自然乾燥のようす

木材加工視察(木粉・ペレット)

次に、粉砕加工を行う工場・設備をご案内しました。

※設備紹介の際は、プラント電源を停止しセーフティーロックをかけ安全に配慮した上で行っています。

破砕機への投入方法の説明

粉砕設備の構造の紹介

プラント構造やメンテナンスの説明

品質管理方法などの紹介

粒径の大きい木粉を木質ペレットに加工することで材料を余すことなく使用することなど、森林資源の多様な加工についても紹介しました。

木質ペレット加工の説明

木製品事例視察

最後に、那賀町林業ビジネスセンターをご案内し、具体的な製品を例に、木質材料を使用することで自然由来のいろいろな機能性を持つモノづくりができることなどをご紹介しました。

木粉の塗り壁 吸湿・調湿機能に優れます

また、今回は時間の都合で無垢の木製品の製造工程などはご紹介できませんでしたが、ウッドサーフボードなどこれまでになかった木製品や伝統の指物技術により製作した家具などのご紹介も行いました。

木頭杉のウッドサーフボードとパドル

杉のSUPボード(手前)や拭き漆仕上げのテーブル・椅子

まとめ

参加されたみなさまから適宜質問やご意見を頂きながら、那賀ウッドの研修は予定の時間をめいいっぱい使いお互いにとって有意義な時間となりました。

ネパール政府のみなさまから質問の様子

ネパールでは中小企業の起業による雇用創出や地域経済の発展が国の最優先課題の1つになっており、森林・林業セクターにおいてもコミュニティフォレスト利用者グループや民間企業による起業が奨励されていますが、現状ではあまり進んでいないとのことでした。

また、ネパール森林環境省では政府の予算的な制約や、以前補助制度による事業化支援をおこなったものの上手く行かなかった経験などもあり、Public Private Partnershipへの関心が高いようでした。

このため那賀ウッドのような民間企業、地方自治体、森林組合が共同で出資して事業を立ち上げたビジネスモデルに関心が高かったようです。

那賀ウッドでの研修を通じて、下記のようなご意見などを頂きました。

  • 原材料を那賀町町内の製材業者や出資者でもある木頭森林組合など那賀町内で安定的に買い取っていること、親会社であるエイト日本技術開発の全国的なネットワークを活かした様々な製品の全国販売についても関心が高かった。
  • そしてそれらの活動が町の資源の活用や雇用創出等に貢献をしているということで、今後、ネパールでPPP事業の検討等を行っていくにあたって参考になった。
  • 一方で、ネパールでは民間企業、地方自治体、その他の関係者とPPPモデルのような事業を立ち上げるに当たっての関係者のコンセンサスを得るのが非常に難しいだろう。
  • 木粉など様々な製品の展示を見て触れることができて良かった、竹や製材所の端材などの有効活用について参考になった。

現場でも質疑応答や意見交換を適宜おこないました

那賀ウッドとしても、ネパールの状況や課題について大変勉強になりました。

今後、ネパールをはじめ海外での森林資源の活用や地場産業の創出にも貢献できるように、親会社のエイト日本技術開発ともども研鑽を続けていきたいと思います。

ネパールの皆様のご活躍を祈念しております!引き続き宜しくお願いします。

心配していた天気が持ってくれて良かったです!

交流の記念品も頂きありがとうございました!

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